簡易録音のすすめ

歌を歌うときに、自分の出している声を耳で聴こうとする人は「声の揺れ」に注意してください。

声は喉(声帯)だけで出しているものではなく、声帯で作り出した空気の振動を身体のいたるところに共鳴させています。

ですので歌を確かめる時には、身体の内部の響きを感じるようにした方がよいのです。耳で聴きにいくと、脳みそは身体の外に出た「音」を情報としてキャッチし、インプットしようとします。

ほとんどの人は、内側から作り出した声で歌うという表現(アウトプット)と、外から情報を仕入れる作業(インプット)を同時にすることは苦手です。ましてやバンド・サウンドなどの大きな音が鳴っている環境では、自分の声を探す作業も入ってきます。

普通に考えてみてください。何かに意識を集中するときは人間は無口になりますし、手も止まりますよね?人間の脳みそが何かに集中するというのはそういうものです。

また集中した時に作業が止まるということは、音を聴きに行ったときにも同じことが起こります。試しにロングトーンを出して、途中で意識的に耳で声を聴いてみてください。大抵の人はカクンと音が揺れたり、ピッチが不安定になるはずです。

ちゃんと歌えてるかを確認するはずなのに、その作業がトーンを不安定にしてしまうのです。

では、どうすればいいのか?

僕が思うには、やはり「記録」と「分析」の作業は分けるべきです。

「記録」は二つ行います。

一つ目は「録音」です。最近は高性能の簡易レコーダーがとても安い値段で買えるようになりましたし、スマホのアプリでも資料レベルであれば何の問題もないほど綺麗に録音できます。

そしてもう一つの「記録」は、歌ってる時の「身体の感覚をできるだけ覚えておくこと」。「verseの部分はこんな感じだった。」とか、「サビはこのへんに力を入れた」とか・・・。

そして歌い終わった後、録音されたものを聴いてみると、「あれ?なんか思ってたのと違うな?」という部分が何カ所かでてくると思います。その時に歌った感覚を覚えていたらとても参考になります。

声というものは空気の振動で、人の耳やマイクに伝わりますが、悲しいことに出している本人には同じ声は聴こえてきません。なぜなら「骨伝道」というあごの骨や頭蓋骨の響きが混ざって聞こえるからです。

骨から伝わる音はどちらかというと明るめの音質ですので、実際に出ている録音された音を聴いたときに少し暗く感じるのはそのためです。

人に「良い声」で伝えたいのであれば、録音された声がその声になるように、「歌っているときの感覚を合わせていく」のが必要です。

まずは「録音」!!はじめは違和感から自分の声を聴くのはいちいち勇気がいると思いますが、慣れてしまえば「自分の本当の声」を受け入れることができますし、逆に知らなかった魅力も発見できます。

ぜひやってみてください!

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